第9回 今週の提言(2026年6月9日号)

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黒字なのに廃業する会社が増えている理由

―― 本当の問題は「利益」ではない

最近、よく耳にする言葉があります。
「黒字廃業」。

会社は利益が出ている。
借入も返済できている。
従業員も頑張っている。

それでも、会社を閉じるという決断をする経営者が増えています。

一見すると、不思議な話に聞こえるかもしれません。
しかし、事業承継の現場にいると、この現象は決して珍しいことではありません。

では、なぜ黒字企業が廃業するのでしょうか。

理由は単純です。
利益があっても、未来が描けないからです。

中小企業の多くは、社長の存在そのものが経営の中心です。
営業も、技術も、人脈も、最終判断も、社長に集中しています。

その結果、社長が引退を考えたとき、
こういう状況が生まれます。

・後継者が見つからない
・事業を引き継げる体制になっていない
・会社の価値を第三者に説明できない

つまり、
会社としては利益が出ていても、
「次の経営者が経営できる形」になっていないのです。

ここで重要なのは、
企業価値は「今の利益」だけで決まるわけではないということです。

むしろ評価されるのは、

・事業が継続できる仕組み
・組織としての経営体制
・将来の成長可能性

といった要素です。

これらが整っていない場合、
たとえ黒字でも「社長がいなくなったら終わる会社」と見られてしまいます。

そうなると、承継も難しくなりますし、
M&Aで会社を引き継いでもらうことも難しくなります。

結果として、
「まだ黒字のうちに会社を閉じる」という選択になるのです。

しかし、ここで考えていただきたいのです。

もし早い段階から、

・株主構成を整理し
・組織体制を整え
・事業の価値を言語化し
・承継や成長のシナリオを描いていたら

未来は違っていたかもしれません。

つまり、黒字廃業の多くは、
経営環境の経営環境の問題ではなく、
準備の問題なのです。

会社というのは、
今日明日で価値が生まれるものではありません。
長い時間をかけて築き上げたものです。

だからこそ、
その価値を未来につなぐ準備にも時間が必要です。

事業承継とは、
単に会社を引き継ぐ話ではありません。

会社の価値を、次の世代に残すための経営戦略です。

そして、その準備を始めるのに
「早すぎる」ということはありません。

むしろ、多くの会社は
「少し遅かった」と感じてから動き始めます。

社長の会社はどうでしょうか。

今、利益が出ているから安心でしょうか。
それとも、未来まで見据えた準備ができているでしょうか。

会社の未来を守れるのは、
やはり社長しかいません。

次回は、
「事業承継に“早すぎる”はない」
――なぜ多くの社長が動くタイミングを逃してしまうのかについてお話しします。



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