第10回 今週の提言(2026年6月16日号)

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事業承継に「早すぎる」はない

―― 多くの社長が、動くタイミングを間違えている

「まだ元気だから、もう少し先でいい」
「忙しいので、落ち着いたら考えます」

事業承継の話をすると、
多くの社長からこうした言葉が返ってきます。

そのお気持ちはよく分かります。
目の前の経営課題に追われる中で、
“将来の話”に時間を割く余裕がない。
これは、多くの中小企業に共通する現実です。

しかし、あえて申し上げます。

事業承継で最も多い失敗は、判断ミスではなく「着手の遅れ」です。

ここまでの連載でもお伝えしてきた通り、
事業承継は単なる引き継ぎではありません。

・自社株の価値を理解する
・株主構成を整理する
・組織体制を整える
・将来の成長戦略を描く
・場合によってはM&Aや再編を検討する

これらはすべて、
一朝一夕でできるものではありません。

にもかかわらず、多くの会社は、
「そろそろ考えないといけない」と感じてから、
初めて動き出します。

そして気づきます。

「思ったより時間がかかる」という現実に。

例えば、

・後継者の育成には、5年、10年という時間が必要です
・株主構成の整理も、一度で終わることはほとんどありません
・組織再編は、準備から実行までに相応の時間を要します
・M&Aも、検討から成約まで年単位で進みます

つまり、事業承継とは、
時間をかけて“整えていく経営プロジェクト”なのです。

ここで大切なのは、
「今すぐ結論を出すこと」ではありません。

「考え始めるタイミングを前倒しすること」です。

この差が、将来の選択肢を大きく分けます。

早く動いた会社は、
・複数の承継パターンを比較できる
・準備をしながら最適なタイミングを選べる
・会社の価値を高めた上で次に引き継げる

一方で、遅れた会社は、

・時間に追われて意思決定を迫られる
・選択肢が限られる
・「本来望んでいなかった形」で承継することになる

これは決して特別な話ではなく、
現場では日常的に起きている現実です。

改めて、考えてみてください。

・事業承継について、いつから考え始めていますか
・準備にどれくらいの時間がかかると想定していますか
・もし今、何も決まっていないとしたら、何から始めますか

もし明確な答えが出ていないのであれば、
それは「遅れている」ということではありません。

「今が、ちょうど良いスタートのタイミング」です。

事業承継に、「早すぎる」ということはありません。
あるのは、「少し遅かった」という後悔だけです。

会社の未来は、
今日の意思決定で変わります。

そして、その意思決定ができるのは、
やはり社長しかいません。

そろそろ、本気で向き合うタイミングではないでしょうか。



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