先日、令和7年度の日本銀行の決算内容を見ていて、いろいろと考えさせられました。
ニュースではあまり大きく取り上げられていませんが、その内容はなかなか衝撃的です。
日銀は令和7年度決算で約2,000億円の通貨発行損を計上しました。
また、受取金利が約2.5兆円だったのに対し、支払金利は約2.7兆円。
長年続いたゼロ金利政策の副作用が、いよいよ表面化してきたとも言えます。
仮に政策金利が1%まで引き上げられた場合、日銀の支払利息はさらに増加することになります。
単純計算はできませんが、場合によっては年間2兆円を超える損失が発生する可能性も指摘されています。
一方で、令和8年3月期の日銀のバランスシートを見ると、保有国債の評価損は約45兆円。
しかし、ETFの評価益は約57兆円あり、最終的な利益は約2兆円を確保しています。
数字だけを見ると問題ないようにも見えます。
しかし、私が気になっているのは別のところです。
それは、「インフレが本当に収まるのか」という点です。
2026年4月時点のコアコアCPIは1.9%。
仮に政策金利を1%まで引き上げたとしても、実質金利はマイナス0.9%です。
つまり、お金を借りる側から見れば、依然として実質的には低金利の状態が続いていることになります。
経済学の教科書通りに考えれば、まだ十分な金融引締めとは言えません。
だからこそ、私はインフレ圧力は今後もしばらく続くのではないかと考えています。
さらに気になるのが、日銀が国債購入減額のペースを慎重に進めようとしていることです。
背景には長期金利の急上昇を避けたいという思惑もあるのかもしれません。
もし長期金利が急騰すれば、国債市場だけでなく、日本経済全体に大きな影響を与えるからです。
海外に目を向けると、アメリカ経済も依然として底堅さを見せています。
先日の雇用統計では、市場予想の8.8万人増を大きく上回る17.2万人増という強い結果となりました。
アメリカ経済が想定以上に強ければ、FRBも簡単には利下げできません。
場合によっては、再び金利上昇圧力が強まる可能性もあります。
そうなると、日本との金利差は引き続き大きな状態が続きます。
そして、その先にあるのは円安です。
もちろん、経済や金融市場に絶対はありません。
しかし、日銀の決算や現在の経済指標を見ていると、
「インフレはまだ終わっていない」
そして、
「円安基調もしばらく続く可能性が高い」
そんなことを改めて感じています。
私たち企業経営者も、これまでのデフレ時代の常識ではなく、
インフレ時代の経営を考える時期に来ているのかもしれません。
第10回:日銀の決算に思う
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