~会社が10億円なら、社長に10億円入るのか?~
「うちの会社は10億円くらいの価値があります」
M&A会社からそう言われたら、社長はどう思うでしょうか。
「会社を売ったら10億円入ってくるのか」
そう考えるかもしれません。
しかし、ここには大きな注意点があります。
「企業価値」と「株式価値」は同じではありません。
① 企業価値とは「事業そのものの価値」
第16回で、EBITDA倍率についてお話ししました。
例えば、
EBITDA 2億円
評価倍率 5倍
とすると、単純化すれば、
企業価値(EV)=10億円
という考え方になります。
これは簡単に言えば、
「この会社の事業そのものには、どれくらいの価値があるのか」
を表したものです。
しかし、会社には事業だけでなく、現預金もあれば借入金もあります。
そこで次に考えるのが「株式価値」です。
② 株式価値は「株主に帰属する価値」
例えば、
企業価値 10億円
現預金 3億円
借入金 5億円
の会社があったとします。
単純化すると、
10億円+3億円-5億円=8億円
この8億円が株式価値を考える一つの目安になります。
つまり、
株式価値 = 企業価値 + 現預金等 - 有利子負債等
という考え方です。
借入金が多ければ、株式価値は企業価値より低くなる可能性があります。
逆に、実質無借金で多額の現預金を持っている会社なら、株式価値が企業価値を上回ることもあります。
③ 「借金がある会社は価値が低い」のか?
ここも誤解されやすいところです。
借入金があるから、その会社の事業そのものの価値が低いとは限りません。
高い収益力を持つ会社が、成長投資のために借入をしている場合もあります。
企業価値を見るときは事業の収益力を考え、株式価値を考える段階で財務内容を調整する。
この二つを分けて考えることが重要です。
④ M&Aでは「ネットデット・ネットキャッシュ」が重要
実際のM&Aでは、単純に預金と借入金だけを見るわけではありません。
余剰現預金、有利子負債、役員借入金、リース債務などを確認し、案件ごとに「ネットデット」あるいは
「ネットキャッシュ」を整理します。
だからこそ、M&Aで会社の価格を考える場合、
EBITDA → 企業価値 → 財務調整 → 株式価値
という順番を理解しておくと分かりやすいのです。
今週の結論
社長から、
「うちの会社はいくらですか?」
と聞かれることがあります。
しかし、本当は一つの数字だけでは答えられません。
「事業そのものはいくらなのか」
そして、
「株主が持っている株式はいくらなのか」
この二つは分けて考える必要があります。
M&Aを考えていない社長にも、ぜひ一度、自社の企業価値と株式価値を試算していただきたいと思います。
決算書を「利益を見るためのもの」から、「会社の価値を考えるためのもの」へ変えてみる。
それだけでも、経営の見え方は大きく変わります。
自分の会社の価値を知ることは、事業承継を考える第一歩でもあるのです。
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国税庁は表向き「公平性」と言いますが、実質は‟相続税ベースの評価が安すぎるところを是正したい“
これだと思います。
よって今後3年以内に起こり得ることは・・・
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