~会社を守る制度が、後継者を困らせることもある~
事業承継対策の話をしていると、
「売渡請求の条項は入れておいた方がいいですよね?」
という質問をよく受けます。
確かに、売渡請求制度は事業承継対策として有効な制度です。
しかし私は、経営者にこうお伝えしています。
「制度を知ることも大切ですが、その制度の落とし穴を知ることはもっと大切です」
相続人に対する売渡請求とは?
非上場会社の多くは譲渡制限会社です。
しかし、株主が亡くなり相続が発生した場合、株式は相続人へ承継されます。
会社が望まない相続人であっても、原則として株主になることができます。
そこで会社法では、
会社が相続人に対して、その株式を会社へ売り渡すよう請求できる制度
を設けています。
これが「相続人に対する売渡請求」です。
なぜこの制度が必要なのか?
例えば、
・後継者は長男
・長女や次男は会社に関与していない
というケースは珍しくありません。
もし後継者である長男が亡くなった場合、その株式が配偶者や子どもへ相続される可能性があります。
結果として、
・経営に関与していない人が株主になる
・株主構成が複雑になる
・将来の事業承継に支障が出る
こうした問題が発生することがあります。
そのため、売渡請求制度は会社を守るための仕組みとして設けられているのです。
しかし、万能な制度ではない
ここで経営者が注意しなければならないことがあります。
例えば、
・社長67%
・知人33%
という株主構成だったとします。
社長が亡くなり、相続人が67%を相続した後に会社が売渡請求を行うと、会社はその67%を買い取ることになります。
すると、
・自己株式67%
・知人33%
という状態になります。
自己株式には議決権がありません。
つまり実質的には、
33%しか持っていなかった知人が会社を支配できる状態になる可能性があるのです。
さらに見落とされる問題
もう一つ重要な論点があります。
それは銀行借入の経営者保証です。
社長が亡くなった場合、
株式は売渡請求によって相続人の手元からなくなる可能性があります。
しかし、
銀行借入の保証債務や相続に関する問題は残ります。
つまり、
「経営権は失うのに、責任だけが残る」
という極端な状況が起きることもあるのです。
本当に考えるべきこと
売渡請求制度の目的は、
「望まない株主を排除すること」
ではありません。
本来は、
会社の支配権を安定させること
にあります。
そのためには、
・現在の株主構成は適切か
・将来誰が経営権を持つのか
・後継者へどう株式を集約するのか
・保証債務をどう整理するのか
まで考えておく必要があります。
今週の結論
相続人に対する売渡請求制度は、事業承継対策として有効な制度です。
しかし、
制度を導入しただけで安心してはいけません。
重要なのは、
「誰に株を渡すか」だけでなく、
「将来、誰が会社を支配することになるのか」
を考えることです。
事業承継とは、単なる相続対策ではありません。
会社の未来と経営権をどう守るかという、極めて重要な経営戦略なのです。
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国税庁は表向き「公平性」と言いますが、実質は‟相続税ベースの評価が安すぎるところを是正したい“これだと思います。
よって今後3年以内に起こり得ることは・・・
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