~決算書だけでは分からない「企業価値」の正体~
「うちは利益も出ているし、純資産もある。だから高く売れるだろう。」
M&Aの相談を受けていると、そう考えている社長は少なくありません。
もちろん、売上、利益、純資産は重要です。
しかし、買手は決算書だけを見て会社の値段を決めているわけではありません。
むしろ重要なのは、
「この会社を引き継いだ後も、安定して利益を出し、さらに成長させることができるのか?」
ということです。
① 利益は「金額」だけではなく「質」を見る
前回までお話ししてきたように、M&AではEBITDAが企業価値を考える重要な指標になります。
しかし、EBITDAが大きければ、それだけで高く評価されるわけではありません。
買手は、
・その利益は毎年安定しているか
・一時的な利益ではないか
・今後も継続できるか
・利益率は改善できるか
まで見ています。
つまり、「いくら儲かっているか」だけではなく「どうやって儲けているか」を見るのです。
② 「社長が辞めても大丈夫か?」
中小企業のM&Aで、買手が非常に気にするポイントです。
営業も社長。
大口取引先との関係も社長。
銀行交渉も社長。
重要な経営判断もすべて社長。
このような会社の場合、買手は当然、
「社長が辞めたら、この会社はどうなるのか?」
と考えます。
社長依存が強ければ強いほど、買手から見ればリスクになります。
③ 取引先・人材・技術を見る
買手は決算書に載っていないものも細かく見ています。
例えば、
・特定の取引先への依存度
・優秀な社員や経営幹部
・独自の技術やノウハウ
・ブランド力
・顧客基盤
・営業エリア
・許認可や資格
などです。
これらは第17回でお話しした「のれん」につながる会社の見えない財産です。
④ 買手との「シナジー」で価格が変わる
そして、もう一つ重要なのがシナジーです。
同じ会社でも、買手によって評価額が変わることがあります。
例えば、
自社の商品を買手の全国販売網で販売できる。
買手の技術と自社の製造能力を組み合わせられる。
人材、物流、仕入れを共有できる。
このようなシナジーが大きければ、
その買手にとっては、他社より高い価格を提示しても買う価値がある
ということになります。
だからM&Aでは、「誰に売るか」も非常に重要なのです。
⑤ リスクも必ず見られる
良いところだけではありません。
買手は、
・簿外債務
・訴訟リスク
・労務問題
・税務リスク
・過度な取引先依存
・老朽化した設備
・後継幹部の不在
なども確認します。
M&Aでは、これをデューデリジェンス(DD)といいます。
問題が見つかれば、価格の引下げや条件変更につながることもあります。
「売る直前」に会社を良くしても遅い
ここが、今回最もお伝えしたいことです。
会社を売ることを決めてから、
「企業価値を高めよう」
と思っても、簡単にはできません。
人材育成も、取引先の分散も、組織づくりも、ブランド構築も時間がかかります。
だからこそ、M&Aを考えていない社長にも、企業価値を高める経営を今から始めてほしいのです。
今週の結論
買手から高く評価される会社とは、どんな会社でしょうか。
利益が安定している。
社長がいなくても組織で経営できる。
優秀な人材がいる。
顧客から信頼されている。
独自の技術や強みがある。
そして、将来の成長が期待できる。
実はこれらは、
M&Aで高く売るためだけに必要なものではありません。
後継者にとっても経営しやすく、金融機関からも評価され、社員も安心して働ける会社です。
つまり、
「売れる会社をつくること」と「強い会社をつくること」は、実は同じなのです。
M&Aをするかどうかは、その後に決めればいい。
まず社長が取り組むべきことは、「誰から見ても欲しいと思われる会社」をつくることではないでしょうか。
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国税庁は表向き「公平性」と言いますが、実質は‟相続税ベースの評価が安すぎるところを是正したい“
これだと思います。
よって今後3年以内に起こり得ることは・・・
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