後継者に会社を渡す前に、「失敗する機会」を渡せ
―― 社長になって初めて失敗する後継者が、一番危ない
事業承継の相談をしていると、社長からこんな言葉を聞くことがあります。
「息子には、まだ任せられない。」
「まだ経営者として経験が足りない。」
私は、その気持ちはよく分かります。
何十年も自分で会社を経営してきた社長から見れば、後継者の判断は危なっかしく見えるでしょう。
だから、つい口を出してしまう。
失敗しそうになれば、先回りして止める。
重要な判断は、結局自分で決める。
しかし私は、ここに後継者育成の大きな落とし穴があると思っています。
失敗させないことが、本当に後継者を育てることなのでしょうか。
私は銀行員として28年間、そして独立して10年以上、多くの経営者を見てきました。
素晴らしい経営者ほど、決して成功ばかりしてきたわけではありません。
むしろ、
「あの時は失敗した。」
「あの投資は間違っていた。」
「あの人事は失敗だった。」
そんな経験をたくさん持っています。
そして、その失敗から学んだからこそ、経営者として強くなっています。
経営は、教科書だけでは学べません。
人を採用する。
設備投資をする。
新しい取引を始める。
銀行と交渉する。
新規事業に挑戦する。
時には撤退を決断する。
そこには、必ず判断が伴います。
そして、すべての判断が成功することなどありません。
だから私は、
後継者育成とは、「正しい答えを教えること」ではなく、「自分で決断し、その結果から学ばせること」
だと思っています。
ところが、多くの会社では逆のことが起きています。
社長が元気な間は、重要なことを全部社長が決める。
後継者は専務や常務として社長の横にいる。
しかし、本当の最終決断はさせてもらえない。
そして、ある日突然、
「今日からお前が社長だ。」
となる。
私は、この承継の方がよほど危険だと思います。
社長になった瞬間から、失敗できない立場になるからです。
社員が見ています。
銀行が見ています。
取引先も見ています。
株主も見ています。
その状態で初めて大きな経営判断を経験する。
これでは、後継者にとってあまりにも酷です。
だからこそ、現社長が元気なうちに、
「失敗できる期間」をつくってあげてほしい。
例えば、一つの事業を任せる。
新規事業を任せる。
採用を任せる。
一定額までの設備投資を任せる。
金融機関との交渉を任せる。
そして、多少失敗しても社長が後ろから支えられる状態をつくる。
失敗した時に大切なのは、
「だから言っただろう。」
ではありません。
「なぜ、その判断をしたのか。」
「どこで間違えたのか。」
「次はどうするのか。」
一緒に考えることです。
その経験が、後継者自身の「経営判断の軸」をつくっていきます。
私は事業承継には、
「株式の承継」と「経営の承継」
があると思っています。
株式は手続きをすれば渡せます。
しかし、経営者としての判断力は、手続きでは渡せません。
経験によってしか身につかないのです。
そして、その経験を積ませる時間をつくれるのは、現社長しかいません。
第20回で、
「社長が元気なうちにしかできない事業承継がある」
とお伝えしました。
その一つが、
後継者に失敗する機会を与えること
なのです。
会社を渡す前に、仕事を渡す。
仕事を渡す前に、決断を渡す。
そして、決断を渡したら、失敗する自由も渡す。
もちろん、会社の存続を左右するような致命的な失敗まで許す必要はありません。
現社長が支えられる範囲で、小さな失敗を経験させればいいのです。
社長が後継者に残すべきものは、会社や株式だけではありません。
自分がいなくても決断できる経営者を残すこと。
それこそが、本当の事業承継ではないでしょうか。
後継者に会社を渡す前に、
まず、
「失敗できる時間」を渡してあげてください。
それが、10年後の会社を守る大きな財産になると、私は思います。
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国税庁は表向き「公平性」と言いますが、実質は‟相続税ベースの評価が安すぎるところを是正したい“
これだと思います。
よって今後3年以内に起こり得ることは・・・
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