第28回 今週の提言(2026年10月20日号)

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社長は、誰に会社の未来を託すのか

――「誰に継がせたいか」ではなく「誰なら未来をつくれるか」

私は銀行員時代から30年以上、多くの中小企業の経営者とお付き合いしてきました。

その中で、事業承継ほど社長の決断が問われる問題はないと感じています。

「息子に継がせたい。」

「長年支えてくれた専務に任せたい。」

「できれば創業家で会社を守りたい。」

その気持ちは、よく分かります。

しかし、私は社長に一つ問いかけたいのです。

「その人は、これからの10年間、会社を成長させられる人ですか?」

今、中小企業を取り巻く環境は大きく変わっています。

円安、物価高騰、人手不足、少子高齢化、そしてAIの急速な進化。

これまでの経験や成功体験だけでは、会社を守れない時代になってきました。

次の経営者には、変化を読み取る力、社員を動かす力、そして何より、自ら決断する力が求められます。

私は、これからの事業承継で最も重要なのは、「血縁」や「年功」ではなく、「経営者としての資質」だと
思っています。

もちろん、子どもにその資質があれば、素晴らしいことです。

しかし、子どもだからという理由だけで継がせることは、本人にとっても社員にとっても、
必ずしも幸せな結果にはなりません。

社内に適任者がいれば、役員・従業員への承継を考える。

社内にいなければ、外部経営者の登用やM&Aも選択肢になります。

大切なのは、最初から承継先を決めつけないことです。

そして、もう一つ忘れてはいけません。

経営者の資質は、生まれつきの能力だけで決まるものではありません。

経験を積ませる。

決断を任せる。

失敗から学ばせる。

信頼できる経営幹部や専門家を周囲に置く。

現社長が時間をかけて育てることも、事業承継の大切な仕事です。

第27回で、私は「社長は次の世代に何を残すのか」と問いかけました。

その答えの一つは、自分がいなくても成長できる会社と、それを率いる経営者を残すことではないでしょうか。

会社は、社長個人の財産であると同時に、社員や取引先、地域社会を支える存在でもあります。

だからこそ、後継者選びは親の愛情や個人的な感情だけで決めてはいけません。

「誰に会社を渡したいか」ではなく、「誰なら会社の未来をつくれるか」。

その視点で、もう一度後継者を考えてみてください。

会社の未来を誰に託すのか。

それを決めることこそ、現社長に課せられた最も重い責任の一つだと、私は思っています。



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