第24回:なぜ、私のコンサルティングは売れないのか

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― 「何でも相談してください」では、仕事にならない

K社長のEBO(従業員による事業承継)案件が無事に完了した。

持株会社を設立し、銀行融資を活用して、後継者へ株式を承継する。

銀行への説明資料をつくり、本部稟議のポイントまで整理し、実行まで伴走した。

独立して初めて、

「コンサルタントらしい仕事ができた。」

そんな手応えを感じた案件だった。

報酬は100万円。

会社の資金繰りが苦しかった私にとって、その100万円は本当にありがたかった。

「このような仕事を増やしていけば、会社は何とかなるかもしれない。」

少しだけ光が見えた気がした。

ところが、ほぼ同じ時期だった。

創業一年目から顧問契約をしていただいていたM社長から、突然言われた。

「橋本さん、今回で顧問契約を解除してくれ。」

正直、ショックだった。

なぜだろう。

M社長には、何もしていなかったわけではない。

むしろ私は、いろいろな提案をしていた。

一部事業を譲渡するM&Aの提案。

ホールディングス化による組織強化。

保険を活用した法人税などへの対策。

銀行員時代の経験や事業承継の知識を使い、

「会社のために何か役に立てないか。」

と常に考えていた。

それなのに、契約を解除された。

私は考え込んだ。

「なぜだ?」

そして、少しずつ気づき始めた。

私がやっていたのは、銀行員時代と同じ「よろず相談」だったのではないか。

銀行員なら、それでよかった。

銀行には融資がある。

預金がある。

保険がある。

金融商品がある。

お客様の相談に乗りながら、必要に応じて銀行の商品につなげることができる。

しかし、私はもう銀行員ではない。

自分自身のサービスに対して、お客様から直接お金をいただかなければならない。

そう考えた時、大きな問題に気づいた。

私のコンサルティングは、何をしてくれるのか分かりにくかった。

事業承継もできます。

M&Aもできます。

自社株の相談もできます。

組織再編もできます。

資産運用や保険の相談もできます。

何でも相談してください――。

一見すると、幅広い知識があって良さそうに見える。

しかし、お客様から見れば、

「結局、橋本さんは何をしてくれる人なの?」

ということだったのではないか。

核心が伝わっていなかった。

これは私にとって大きな気づきだった。

銀行員時代、私は「提案力」にはそれなりの自信を持っていた。

決算書を見れば、会社の問題点をある程度見つけることができる。

社長と話をすれば、いろいろな提案もできる。

事業承継、M&A、相続、自社株、組織再編。

知識も経験も積んできた。

しかし、

知識があることと、商品があることは違う。

どんなお客様に、

どんな問題を解決し、

何を提供し、

いくらいただくのか。

それが明確でなければ、ビジネスにはならない。

K社長の案件は、そこが明確だった。

後継者を決める。

持株会社を活用する。

銀行融資を受ける。

そして株式を後継者へ移す。

目的も、やることも、ゴールも分かりやすかった。

だから100万円という報酬をいただくことができた。

一方、M社長への顧問サービスはどうだったのか。

私は毎月訪問し、いろいろな話をして、いろいろな提案をしていた。

しかし、

「何のために顧問料を払っているのか。」

その価値を、分かりやすく示せていなかったのだと思う。

契約を解除されても仕方がなかったのかもしれない。

しかし、当時の私には、すぐに答えを出すことができなかった。

どうすれば、K社長のような事業承継コンサルティングを安定的に受注できるのか。

どうすれば、私の知識や経験を「商品」にできるのか。

どうすれば、社長に、

「橋本さんにお願いしたい。」

と言っていただけるのか。

考えても、考えても、答えが出ない。

苦悩の日々が続いた。

独立して三年。

銀行員として28年間、多くの会社を見てきた。

事業承継の経験もある。

M&Aも分かる。

財務も分かる。

それでも、自分の会社のビジネスモデルをつくることができない。

経営とは、本当に難しい。

私はまた一つ、経営者の苦しさを身をもって知ることになった。

こうして、独立三年目が終わった。

会社はまだ苦しい。

安定した売上もない。

明確な商品もない。

自分が進むべき道も、まだ完全には見えていなかった。

しかし、独立四年目。

そんな私に、大きなチャンスが訪れる。

後から振り返れば、この出来事が、私のコンサルタント人生を大きく変える転機になった。

暗闇の中を歩いていた私の前に、ようやく一筋の光が見え始める。

それは、まったく予想していなかったところからやってきた。

次回予告

第25回 突然やってきた、大きなチャンス

独立四年目。

資金もない。

安定した商品もない。

それでも三年間、何とか会社を続けてきた。

そんな時、思いもよらない大きな仕事の話が舞い込んできた。

その出会いが、私の仕事、そして会社の方向性を大きく変えていくことになる。