第3回:40歳で病気を宣告された日のこと

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今年の2月中旬から3月中旬まで、1ヶ月ほど入院していた。

病室の天井を見ながら、ふと昔のことを思い出した。
40歳のとき、人生が大きく変わった、あの日のことを。

当時の私は、銀行の久留米支店で渉外マネージャーをしていた。

次は支店長。
そう言われていた時期だった。

入行した頃から、自分の中には一つの目標があった。

「遅くとも40歳で支店長になる」

若い頃から、それだけを目指して走ってきた。
営業も、人間関係も、数字も、誰よりも努力してきたつもりだった。

そして40歳。
ようやく、その最初の目標が現実として見え始めていた。

このままいけば、次の景色が見える。
そう思っていた。

ところが、その矢先だった。

突然、経験したことのない強烈な腹痛に襲われた。

冷や汗が止まらず、立つこともできない。
ただ事ではないと分かり、救急車で運ばれた。

搬送先は大学病院の救命救急センター。

あまりにも急な展開に、自分でも何が起きているのか理解できなかった。

検査、処置、点滴、医師の説明。
気がつけば、そのまま入院となった。

救命救急センターから一般病棟へ移り、2ヶ月の入院生活。

病室のベッドの上で、私は初めて思った。

「終わった……」

仕事はどうなるのか。
昇進はどうなるのか。
この先、自分は元のように働けるのか。

何より、自分が信じて積み上げてきた人生設計が、一瞬で崩れた気がした。

人は、未来が見えていると信じて生きている。

来年も同じように働き、
数年後にはこうなっている。

誰もが、どこかでそう思っている。

しかし現実は違う。

人生は、ある日突然、予定通りではなくなる。

健康も、仕事も、立場も、
当たり前に続くものではない。

退院してからも、大変な日々は続いた。

体力は戻らない。
以前のようには動けない。
周囲の見る目も、自分の気持ちも変わってしまった。

けれど、今振り返れば、あの出来事があったからこそ気づけたこともある。

肩書きだけが人生ではないこと。
順調な時には見えない景色があること。
人は、失って初めて分かるものがあること。

40歳の私は、「終わった」と思った。

でも本当は、そこで一度立ち止まり、
新しい人生が始まっていたのかもしれない。

人生には、自分の思い通りにならない日があります。

けれど、その日が終わりではなく、
次の始まりになることもある。

あの病室で絶望していた40歳の自分に、今ならそう伝えたいと思います。