第8回 今週の提言(2026年6月2日号)

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M&AやIPOは特別な会社の話ではない

―― 「知らないこと」が、最大の経営リスクになる

「うちはそんな規模じゃないので」
「M&AとかIPOは、もっと大きな会社の話でしょう」

この言葉を、これまで何度聞いてきたか分かりません。

確かに、テレビや新聞で取り上げられるM&AやIPOは、
上場企業や急成長企業の話が中心です。
そのため多くの中小企業の社長が、
「自社には関係ない」と感じてしまうのも無理はありません。

しかし、現場を見てきた立場から言わせていただくと、
それは大きな誤解です。

むしろ最近は、
中小企業のM&Aはごく当たり前の経営選択肢になっています。

後継者不在の企業が第三者に事業を託すケース。
成長のために同業を買収するケース。
地域の企業同士が統合して競争力を高めるケース。

こうした動きは、全国で日常的に起きています。

重要なのは、
M&Aをするかどうかではありません。

もっと大切なのは、
「選択肢として持っているかどうか」です。

経営とは、選択の連続です。
そして選択肢が多い会社ほど、強い。

ところが、
M&AやIPOを「自社には関係ない」と最初から外してしまうと、
経営の可能性は一気に狭まります。

例えば――

・新しい市場に進出したい
・技術や人材を補強したい
・事業の一部を切り離して成長させたい

こうした場面で、
M&Aという手段を知っている会社と、
知らない会社では、打てる手が全く違います。

IPOも同じです。

上場するかどうかは別として、
IPOを目指す会社の経営の考え方は、
多くの中小企業にとって参考になります。

・ガバナンスの整備
・経営の透明性
・成長戦略の明確化
・組織体制の強化

こうした要素は、
上場企業だけのものではありません。
むしろ、会社を持続的に成長させるための基本です。

つまり、
M&AやIPOは「遠い世界の話」ではなく、
経営の視野を広げるためのレンズなのです。

もう一度、考えてみてください。

・自社の事業は、外から見たらどんな価値があるのか
・もし他社と組めば、どんな可能性が広がるのか
・将来、会社の価値を最大化する方法は何か

これらの問いを持つだけで、
経営の見え方は大きく変わります。

事業承継の話も、
組織再編の話も、
資本構造の話も、
すべてはここにつながっています。

会社の未来を、どこまで大きく描くのか。

それを決めるのは、市場でも専門家でもありません。
社長の視野です。

次回は、
「黒字なのに廃業する会社が増えている理由」
――数字では見えない企業価値について考えていきます。



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